無くしたイヤホンの不思議な話
1月に外出先でワイヤレスイヤホンをなくした。
2月の終わりに戻ってきますようにと願掛けをしておいた。
その後、訪問した店や場所に問い合わせをしたものの、忘れ物や落とし物として届けられていることはなかった。
それなのに、3月1日。車のサングラスの位置がいつもと違っていたため、直そうとケースを覗き込んだとき、そこにイヤホンがあった。
何度も見た場所。何度も触ったケース。今まではなかったはずの場所に、イヤホンが突然現れた。
それも願掛けをした2月が終わった直後に。
メルカリに出品されていないかと人を疑った自分が情けない。けれど、あまりにも不思議な出来事に、驚きとともに少しゾクッとするような感覚もあった。
イヤホンが戻ってきたことで、疑ってしまったことへの反省と同時に、願掛け通りになったのだから何かお返しをしようという気持ちも湧いてきた。寄付をしようかとも思ったけれど、今のところは「思っているだけ」だ(笑)。
でも、この出来事が何かを教えてくれた気がする。世の中には、自分では説明できないような不思議な流れがあるのかもしれない。もし、あの瞬間にサングラスケースを覗き込まなかったら、イヤホンはまだ見つかっていなかったかもしれない。あるいは、もっと別の形で戻ってきたのかもしれない。
そして、ひとつ確かに言えるのは、願掛けをしたことで、どこか心の支えができていたということだ。
「2月の終わりには戻ってくる」と決めていたからこそ、無くしたことに対して区切りをつけられたし、探すことも諦めずにいられた。
だからこそ、イヤホンが戻ってきたことは単なる偶然ではなく、「信じること」や「願うこと」の力を少しだけ感じる出来事になった。